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"沖縄の現状をよく知らない学生の「知らなかった」が 「今知った」に変わるだけでも意味がある"

July 23, 2020

Read the interview in English

Dr. Natsu Onoda Power portrait

ジョージタウン大学 演劇学部 教授

パフォーミング・アーツ学部で様々なコースを教えるかたわら、デイビス・パフォーミング・アーツ・センターの芸術監督(2016~2019年)として、パワー・小野田・奈津先生は15年間にわたり、ワシントンDC首都圏の演劇ファンがビジュアルを中心に楽しめるビジュアル劇場用のオリジナルの作品を発表しています。

最近の作品の一部を紹介すると、Thumbelina (脚色/監督/イラストレーター、2020年、メリーランド州ベセスダ イマジネーション・ステージ)、The Lathe of Heaven (脚色家/監督/舞台美術、2018年、 スプーキー・アクション・シアター/ジョージタウン大学)、The T Party (脚本/監督、2016年、フォーラム・シアター、カンパニー・ワン・シアター )、Wind Me Up Maria! A Go-go Musical (脚本/監督、2016年、ジョージタウン大学)、 A Trip to the Moon (脚本/監督/イラストレーター、2012-2013年、シネティック・シアター, Astro Boy and the God of Comics (脚本/監督、2014年、スタジオ・シアター;カンパニー・ワン・シアター)等です。小野田・パワー先生はノースウェスタン大学で演劇の博士号と取得、主な著書にGod of Comics: Osamu Tezuka and the Creation of Post World War II Manga (2009年 ミシシッピー大学)があります。

インタビュー日時:2020年6月12日
収録場所:Zoomにて
オリジナル言語: 日本語
聞き手&書き起こし:佐藤光代 (佐藤)
英訳:キャシディ・チャールズ

 

沖縄を舞台にゴーゴー音楽のミュージカル?

[佐藤] 沖縄出身でないのに、沖縄を舞台とした脚本をどうして書こうと思ったんですか。

[小野田・パワー] 話はちょっと長くなるんですけど、ワシントンのゴーゴー音楽ってご存知ですか。

[佐藤] いいえ、知らないです。

People performing on stage

[小野田・パワー] たとえば、その、ニューオーリンズだったらジャズ、シカゴだったらブルーズというふうに、地域の音楽ってあるじゃないですか。それで、DCはゴーゴーっていうのがあるんです。そこらでいっぱいやってるんで、多分聞いたら、この音楽か!って分かると思いますよ。アフリカンアメリカンのコミュニティーから生まれた音楽なんですが、コンガ、ティンバレ、ラタトンを使ったドラミングのパターンに特徴があって。これ、沖縄と全然関係がないじゃないかって思ってるでしょ?流れでつながるの!!まあともかく、私はDCに越してきたときから、その音楽が大好きになって、私の夫もその音楽のファンで、よくゴーゴークラブに行ったりしてたんです。それで、レアエッセンス(1)っていうバンドがあるんですね。そのバンドのボーカルやってる人で知り合いがいて、ショーティくん(2)っていうんだけど、その人といっしょに、2016年にミュージカル書いたんですよ。それで、ジョージタウンで上演したんですけど、私の人生の中で一番meaningfulな(意味のある)プロジェクトだったんですね、それが。 

[佐藤] そのタイトルは?

[小野田・パワー] Wind me up Maria!: A Go-go Musical っていうんだけど、反響もすごくよくって、20人ぐらいのミュージシャンの方たちが参加したんですが、DCのゴーゴーミュージシャンのコミュニティーと、ジョージタウンの学生のコミュニティーがいっしょになって、作品を作ったってことを、私はすごく誇りに思ってて。ショーティくんともすごく仲良くなって、一緒にもう一本何か書こうという話をしてたんですね。で、このWind me up Mariaはキャストもすごく大きいし、大学だからできたプロジェクトであって、もし一般の劇場で上演できるようなゴーゴーミュージカルを書くんだったら、ちょっと方向を変えなくちゃいけない。で、私が日本人であるっていうこともCultural appropriation(3)の観点からちょっと問題があって。やっぱり、DCを舞台にしたゴーゴーミュジカルをやるには、DCのアフリカンアメリカンの人が書いたほうがいいですよね。でも私は個人的には、本当の課題は”日本人である私が書いてもいいのか”ではなく、”日本人である私が書くことのできるゴーゴーミュージカルというのは、どんなものだろう”であると思うんです。そのことを色々考えてたとき、たまたまある時ハワードシアターのレアエッセンスのコンサートに行くのに、ウーバーに乗ったんです。

乗ったとき、ウーバーの運転手さんが、名前がわかるじゃないですか。で、「あ、’なつ’?」っていうから、「はい、’なつ’ですって言って乗って。じゃ、「’なつ’ってsummerっていう名前だね?」って言われて、「なんでわかるの?」って言ったら、「沖縄に駐在してたから」っていうんですよ。で、彼はDC出身のアフリカンアメリカンの人、沖縄に何年かいて、素晴らしいところだったって、沖縄の思い出を語ってくれて。ハワードシアターで何やってるの?っていうところから、ゴーゴーの話もちょっとして。それでウーバー降りて、じゃーねーってお別れして、その時に「あ!」ってひらめいて、これはお芝居になりそうだと思って。DC出身の、例えば、アマチュアミュージシャンが、沖縄に駐在してて、もし自分たちでアマチュアのゴーゴーバンドを沖縄のミュージシャンたちといっしょにやるってのはどうか!それをショーティくんに言ったら、それはぜひぜひ、それはいい!って言って。じゃあちょっと沖縄に取材しにいこう、沖縄の音楽シーンの取材をしに行こうと思って、そういうかるーい気持ちで、それで、10月にちょうどサバティカル(4)だから行ったんですよ。

私はしいたげられている側?それとも、しいたげている側?

[佐藤] それは去年の10月ですか。

[小野田・パワー] はい、去年のの10月です。その時は、私は沖縄の音楽なんて全然知らないし、で、伝統的なところから入ろうかなと思って、県立芸大に一週間、見学させてもらう約束をして、それからコザのミュージックシーンもちょっとチェックアウトしたいなと思って、いろんなベニューを調べて、あと、アメリカの文化と沖縄の文化がぶつかり合うような’ようなところは、どんなところがあるかを考えた時に、あ、金武に行ってみようと思って、事件(5)があったところだし、今でも大きなマリーンのベースがあるところだから。そういう企画だったんですよ、沖縄を舞台にゴーゴーミュジカルを書きたいがために沖縄に行ったんです。

でも、沖縄に足を踏み入れたとたんに、そんな魂胆はガラガラガラと崩れてしまって、そんなんじゃない、なんか別のものを書かなくちゃいけないような気がするという思いがなぜかして、で、二日目か、三日目かな、辺野古にお話を聞きに行ったんですよ。その時はたまたま、座り込みがおやすみで、なんだっけ、祝日だったんです。で、その時に、そういうお芝居をかいてるんだったら、ぜひこの人にお話をしなさいって、メールのアドレスをもらったんです。ダグラス・ラミスさんという政治経済学者で、アメリカ人の退役軍人の方なんだけど、そのあと、津田塾の教授になって、日本でずっと教えてて、基地反対のリーダーとして今活躍なさっている方で。県立芸大のすぐ近くに住んでいらしたんですよ。だから、授業見学のあとにでもお話を聞かせてくださいって言ったら、あってくださって。で、もっと話しを聞きたいんだったたら、僕と一緒に那覇から出てる座り込みのチャーターバスに乗って、辺野古まで来てって言って。それで、その週にバスにのって一緒に行って、座り込みに参加したんです。

そしたら、もう本当に衝撃を受けてしまって、私は今まで、こんなことが起こってるんなんて、聞いたことも見たこともなかった。ヤマト出身でアメリカに住んでる人間として、直接的ではないにしても、私の現在の幸せっいうのは沖縄の方たちの犠牲の上に成り立っているというということを考えて見たこともなかった。考えてみたこともなかったっていうこと自体が本当に衝撃で、なんていうのかな、今アメリカで私は有色人種の女性として生活してるわけじゃないですか。私に来る質問も、そういうのが多いんですよね。例えば、マイノリティーの女性としてとしてシアターで仕事をしてるっていうのはどういう経験ですかって聞かれることが多い。マイノリティーの女性っていうアイデンティティーじゃないですか。oppressed(6)のカテゴリーで。

Dr Power and her dog on Zoom

沖縄に行って初めて、私は沖縄ではダブルoppressor(7)であるということに気づいたんですね。今まで考えてみたこともなくって。それって、白人社会で白人が自分がoppressorであると考える機会がないっていうのと同じじゃないですか。oppressed の人は自分がoppressed されているってことを常に体感して生きているわけだけれど、oppressorの側の人は、そんなことを考える機会がほとんどない。私は、oppressorでもあるわけだけれど、今までoppressed としてしかoppression を体験していなかったというのは、oppression自体がそういう仕組みになっているからなんですね。私のこのリアライゼーションをアメリカの観客に伝えるっていうのはすごく大切なことなんじゃないかと思うんです。特に今。

[佐藤] DCのコーゴー音楽から、突然沖縄を舞台に、ってなったのに、沖縄に着いてまた一瞬にして変わってしまって? 

[小野田・パワー] それが、またアメリカの話に戻るっていうのがおもしろいですよね、面白いって言っていいのかわかりませんが。沖縄が日本、アメリカから受けてきた差別、植民地化というものが、アメリカで有色人種、特にアフリカンアメリカンの方々の受けてきた差別と虐待に重なるんですね。

グローバル・リソース・センターの沖縄コレクションを見つけて

[佐藤] その部分はやっぱり脚本には入る?

[小野田・パワー] そうですね。でも今、シアターがいつになったらオープンするかわからないじゃないですか。

[佐藤] DCってシアターがいっぱいありますよね。

[小野田・パワー] 私は実は来週オープンする舞台があったんですよ、でも中止になっちゃって。

[佐藤] それはどちらのシアター?

[小野田・パワー] グレンエコーのアドベンチャー・シアターです。2月にイマジネーション・ステージでオープンしたThumbelinaという作品もあったんですが途中で打ち切りになって。来年のシアターのシーズンのスケジュールは」何もわからない状態だし、私の沖縄のお芝居も7月にスタジオシアターでワークショップして 3月、4月にジョージタウンで校内公演をやる予定だったんですけど。

[佐藤] 来年の3月ですね?

[小野田・パワー] それもどうなるかわからないじゃないですか。だから今それをバーチャルでできないかと色々考え中なんですが 

[佐藤] なるほど。出演者にはジョージタウン大学の学生さんもたくさん入るんですか。

[小野田・パワー] 役者は学生ということになりますね。それをジョージタウンでやって、それでまた推敲して、いずれはプロの劇場でやりたいと思っています。

[佐藤] もう書いてしまっている状態ですか 

[小野田・パワー] まだ全然書いていません。

[佐藤] これからですね. 

[小野田・パワー] これからです。だから、これからまた沖縄コレクションにもたくさんお世話になると思います。自宅から歩いていけるところに、こんな素晴らしいリソースがあるとは、恥ずかしながら知りませんでした。前回お邪魔したのは、3月に沖縄に行く前日でしたね。本当にあらゆる書籍が揃っていて、また常に新しいものが入ってきていて、素晴らしいです。DCにこのような場所があるということは、とても意味深いと思います。コロナがなかったら、私きっと入り浸っていると思います。

[佐藤] どうもありがとうございます。沖縄コレクションにいらした時は、沖縄の音楽、小説、紅型などの本をごらんになっていらっしゃいましたけど、そういうものが今から書く舞台の内容と関係があるんでしょうか。

舞台でタコライスを作るかも

[小野田・パワー] わたしの作品は大抵筋というものはなくて、もっと実験的なものが多いんです。例えば10場面あったら、10場面ひとつひとつが一つのエピソードとして成り立ってる、で、作風もテクニックも全然違う10場面を合わせて、複雑な沖縄のイメージができるというような、ものにしたいなとおもってます。

[佐藤] 例えば?

Dish of taco rice

[小野田・パワー] 今ひとつ考える場面としては、タコライスってありますよね?タコライスの歴史をクキングショーみたいにしてやりたいなと思うんですよ。舞台でタコライスをつくりながら。

[佐藤] 本当に作る?

[小野田・パワー] うん、タコライスは金武で発明されて、金武の人口は一万2000人くらいなんだけど、1万2000人でお米が2カップ。で金武にあるキャンプハンセンの海兵隊の人口が6000人、だから1カップ足す。料理のプロセスが歴史のプロセスと重なっていくようなクッキングショーにしたいと思うんですよ。 お肉を炒める場面では、火をつけて、そこにカメラをクローズアップして、その、他の照明は全部決して、役者はその火のあかりだけで、照明が当たっているような。そこで、ちょっと沖縄戦の話しになるんですよ。

[佐藤] 沖縄戦?

[小野田・パワー] だって、なぜ沖縄に基地があるかというと、第二次世界大戦と沖縄戦があったから。で、そこで火のイメージになって。沖縄戦の事実を語りながら、お肉をいためるんです。ちょっとおどろおどろしいんですけど。でもね、またパッと照明がついて、そのクッキングショーに戻るんですよ。。そういうふうにして、タコライスクッキングショーが、一話目。もう一話は、ライブ中継。劇場公演は大体8時スタートでしょ??DC時間8時は、沖縄では朝の9時。ちょうど座り込みが始まる時間。それで、8時から8時10分は辺野古から劇場にライブ中継というのを考えていて。

[佐藤] それが一つのシーン?

[小野田・パワー] そう、それが一つのシーン。でも、そのライブ中継だけでは、反対運動というのがどういうものかわからないですよね。それで、もう一つ座り込みの場面があって、それは、二人の役者がチェスの盤を間にはさんで座ってる。で、上からカメラで撮って、チェスのピースが座り込みの参加者、警備会社、機動隊を象徴するんです。アイディアはいっぱいあるんですけど、さっき言ったように一場面一場面全部、作風が違って、ダイアローグだけの場面もあるんですよ。

[佐藤] なるほど。 

[小野田・パワー] 私、いろんな人にインタビューしたんですけど、島袋ふみ子さん、91歳のおばあちゃんで、彼女にお話したとき、彼女から沖縄戦の体験の話を聞かせていただいて、その話は、例えば、紙芝居でやったらどうかなあとか。

[佐藤] 今まだそれは決まってないわけですけど、ちょっとずつ決まってて、全部を通してのメッセージってどういうものですか 

Dr Power and another person

[小野田・パワー] メッセージっていうより、ゴールは、実は次元の低いものなんですよ。大体アメリカの人で沖縄について考えているひとってあんまりいないと思うんですよね。

[佐藤] 脚本家でそんな人はいないんでしょうか。

[小野田・パワー] 私の知ってる限りではいないですね。ともかく、一般のアメリカ人で、沖縄の現状を知ってる人なんて、あまりいないでしょう。でも、3月にまた座り込みに行った時、私の学生とZoomでそれをシェアしたんです。そしたら学生が本当にショック受けてたんですね。 びっくりしてた「え、こんなことがあるの?」って。「なんでなんでなんで、沖縄に私の国の基地があるの。」そんなことも知らなかった。「基地があるっていうのは知ってたけど、一箇所ぐらいあるのかと思ってた」沖縄の土地の10%がアメリカ軍の基地だと聞いてショックを受けてました。こうやって、”知らなかった” が ”今知った” に変わるだけでも、意味があると思うんです。基地反対とか賛成とかはとりあえずおいといて、知ることに意味がある。それが一つ目のゴールですね。あと、二つ目のゴールっていうのが、私が持ったリアライゼーション、つまり私はoppressorである故に、今までoppressorであるということを考えなくてよかった、ということを観客にも省みてほしいですね。

舞台を通して伝えたいこと

[佐藤] それを表現するわけですか、劇で?

[小野田・パワー] そうですね、私は今まで自伝的なものって書いたことないんですけど、この作品に関しては、Natsu Onoda Powerも登場人物として登場するかなとは思いますね。私ではないかもしれない。私、、、

[佐藤] のような?

[小野田・パワー] 私のような。

[佐藤] 出来上がって、ショーを開催するとなったら沖縄の人に伝えたいものとかはありますか。

[小野田・パワー] 伝えたいっていうか、私がこれをすることによって、沖縄の芸術家の方たちにも、もっと機会ができればって思いますね。アメリカのリソースを使って、沖縄の芸術家、活動家の作品を世に広めるということにちょっとお手伝いができたと思うのはすごく嬉しいんですよ。沖縄の方たちが語る沖縄の話っていうものの需要がアメリカでもできたら素晴らしいですね。たまたま私はDCで演劇を作るっていう仕事をしてるから、私がまずこれを作る。そのことによって沖縄の人たちの作品にも興味が出れば最高ですね。

[佐藤] 楽しみにしてます。

[小野田・パワー] 複雑な全てのオピニオンを全部まとめずに、10個のエピソードとして。 10個のエピソードの中にはconflicted opinion(8)あるんだけど、複雑なものを複雑なままで提供したいなと思います。70年のコザ暴動と今の(アメリカの)プロテストと、あと68年のDC riotを比べる一場面もやりたいなと思うんですね。 

[佐藤] 共通点があるからってことですね?

[小野田・パワー] そうそう。ライオット(riot)(9)ってことば私あまり好きじゃないんですけどね、ライオットというより、レベリオン(rebellion)(10)って言いたいんだけど。何かがあったから怒った暴動ではなくって、ずーと積み重なってきた暴力の歴史で、最後の藁っていうか、転換点というのがあって、それで爆発するものだから、三つとも共通するものがあるからですね。 

[佐藤] お話、10場面では収まりそうにないですね!

[小野田・パワー] 10では収まらないかもしれない!

 

注: 

  1. Rare Essenceというバンドの名前 
  2. Charles “Shorty Corleone” Garrisという名前で活躍しているDC在住のミュージシャン
  3. 文化の盗用」の意 
  4. 「研究休暇」の意 
  5. 1995年に起こったキャンプ・ハンセン(金武町)に駐留するアメリカ海軍軍人による少女暴行事件 (「沖縄から伝えたい、米軍基地の話」より) 
  6. 「圧迫されている、しいたげられている」の意 
  7. 「圧迫者、迫害者」の意 
  8. 「矛盾した意見」の意 
  9. 「暴動」の意 
  10. 「反乱」の意